~ 人類学者の徒然なる詩考と猛想 ~

ロサール・タシデレ!(謹賀新年)[LHASA・TIBET]

あけましておめでとうございます。

今年も何卒宜しくお願い致します。

 

去年は日本という国土に住んでいる我々にとって、困難な年となりました。

自分たちの運命を深く刻まれた、試練の年でした。

今年から、そしてこれから十年後百年後に向けて、再生を繰り返していきましょう。

 

被災地の一日でも早い復興を、ラサにてお祈り申し上げます。

 

 

 

 

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(早朝、バルコル周辺の路地にて)

 

* * *

 

さて、

ラサは寒い日々が続くが、

慣れてくるとこの寒さが妙に心地よくなってくる。

早朝はマイナス10度近くになるものの、昼間のからっとした快晴がやってくると思うと、

朝のきりりとした寒さは何かの恩寵の前兆のように感じられる。

 

ちょっと趣向は違うかもしれないが、

枕草子の<冬はつとめて>はラサにも十分当てはまるような気がする。

早朝のバルコル周辺は、チベット慣れした人間には風情があり、

「いとをかし」という心持ちにさえなってくるものである。

 

早朝、こういう余裕が持てるのは、ひとつには

朝トゥクパとスィートティーの存在によるところが大きいであろう。

関西風の薄味トゥクパは、朝食にはちょうどよい。

年末年始に来られたお客さんの幾人かも、僕が毎朝通っているこの茶館にお連れした。

 

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(トゥクパとスィートティー)

 

ところで今冬、ちょいと停電が多すぎはしないかと思う、バルコル周辺の住人として。

確か一昨年だったか地元の新聞で、

「(発電設備の充実で)ラサは永遠に停電とはおさらば!」と

でかでか記事が載っていたが、嘘八百である。

 

 

電気がなければ、水をポンプで吸い上げることもできず、

そのため温水のない状態がこの5日ほど続いている。

風呂に入れない、暖房が使えないのは、あまり気にならないが、

一番困るのは、コンピューターが使えなくなることである。

特に論文執筆時。

 

論文を書くときには、

机の前に座り、様々な資料を見ながら、pcと睨めっこし、

そ・し・て、インスピレーションや勢いや人類学のイデアみたいなものが

身体に降りてくる瞬間を待たなければならない。

これは座ってから、30分後かもしれないし、3時間後かもしれないのである。

停電時にバッテリー電源の残量2時間、などと表示が出ると、

「降ろしの作業」はほぼあきらめなければならない。

(降ろしたはいいものの、吐き出す先がないのが一番辛いので。)

 

それにしても、最近ラサは無駄な電力消費が多いのではないか。

この一年でライトアップがやたらうるさくなったような気がする。

チベット人も中国人も街の派手な明かりが好きなようだが、

電力分配をもっと人民生活重視に切り替えてもよいのではないか、と切に思う。

 

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(夜のラサ市公安局。「呼び込んで、どうすんねん!?」)

 

* * *

 

それはさておき、

もう来月には日本へ一時帰国です。

2月には福岡で、チベット文化・歴史の概論講座、そして、

3月には東京で、チベットの伝統絵画の講座があります。

 

福岡の講座は、数年前に東京や大阪で開催したチベット講座を

さらにパワーアップしたものをする予定です。

また東京での新講座ですが、タイトルに「伝統絵画」講座とあります。

美学や図像学などの観点からチベット絵画を見ていくというよりも、

あくまで焦点は、絵画の文化的な意味合いを探っていくものになるでしょう。

チベットの伝統芸術や宗教では、様々な象徴表現が発達しており、

それを解読していくものです。

 

* * *

 

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(先日ラサ北方に出現した、空を翔る雲馬。)

 

さいごに、

年末年始に来られた何人かのお客さんから、

猫シロに様々な高級猫食を頂きました。

わざわざ有り難うございました!

 

それにしても、

「ささみ、かにかま(緑黄色野菜入り)、クリーミー仕立て」とは・・。

正月からオレよりも高級食を食べやがって・・。

 

蝋燭の 下で屠(ほふ)るは 和のグルメ

電気なくとも オスいなくとも

 

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(停電中、お客さんの持ってきた猫餌を食べるシロ)

 

今年も宜しくお願い致します。

 

Daisuke/Murakami

 

1月8日

(ラサの)天気: 曇り時々晴れ

(ラサの)気温: -9~6度 (寒暖差に注意!) 

(ラサでの)服装: 厚手のフリース、ダウン、コートなど。晴れの日は日差しがとてもきつくなるので、日焼け対策は必須。空気は非常に乾燥しています。この季節、雨は降ることは少ないですが、雨具は念のため持ってきたほうがいいでしょう。

 

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