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~ 人類学者の徒然なる詩考と猛想 ~

ラサの開放、ふたたび [LHASA・TIBET]

Daisuke Murakamiのチベット駐在日記

半年ぶりのラサ。

やっとのこさ、戻ってきた。

ともいえるし、あっと云う間の半年だったような気もする。

 

 

 

 

数日前、ラサの空港に降り立つ。

空気がとても薄い。

それに気づくか気づかないかのうちに、呼吸が自然に深くなっている。

身体が覚えているのだ。

 

この希薄感。

そして、重力のなんとも言えぬ軽さ。

 

久しぶりのせいであろう、ラサと日本の空気感の違いがヴィヴィッドだ。

歩いている感じが違う。

地面を立っていても、なんだかふわふわしているというか、

頭のてっぺんが空に向かって引っ張られているような感じがする。

これは結構リアルな感覚だ。

だが残念ながら実際に空中に浮くわけではないので、

地面と足がピタと張り付いているのも、同じくリアルであるが。

 

ところで、東京や大阪など日本の都会では、

足裏が地面から数ミリほど浮いている感じがしていたのはなんだったのだろう。

気のせいであろうか、このドラえもん的足裏感覚。

でも、それはおそらくは、日本の都会の独特のスピード感からくるものなのかもしれない。

 

もうひとつ。

ラサの道を歩いている時、人の顔がたくさん迫ってきているように思える。

つまり、ラサに着いてからは、通りすがりの人々の顔がよく見えるのだ。

それは正確には、よく見えるのではなく、よく見ているのである。

 

(数年前の冬のラサ)

 

日本の都会にいるときは、通りすがりの見知らぬ人の顔など、

僕はあまり気に留めない。

(美しい女性が近くを通り過ぎても、僕はあとから同行人に指摘され、

大いに後悔するというパターンが常なのである。)

 

こっちのチベット人たちは、よく人の顔をお互い見合う。

たとえ見知らぬ者同士でも。

その見合った顔は、笑っているかもしれないし、ムスッとしているかもしれない。

だが、そんなことはおかまいなしに、顔を直視する。

ちらっと、もしくは、じっと。

僕も直視する。

こっちでは、それが自然というか、そうなってしまうのだ。

 

(陽当たり良好、ラサ猫二ひき。)

 

こんな、なんでもない些細な違いに五感はとらわれてしまう。

それは今、僕がちょっとした<旅人モード>にあるせいなのかもしれない。

 

そうはいっても、半年前に中断していた日常が続く。

 

半年前に洗濯袋にいれっぱなしだった下着の群れを洗う。(腐ってないから大丈夫!笑)

半年前に散らかしっぱなしだった論文の群れを、整理する。

半年前に別れた猫二匹も、ひとまわり大きくなっただけで、

つい昨日まで一緒にいたかのような親密さで近寄ってきてくれる。

 

まるで、ラサを離れた昨秋9月の時間が、この4月の時間に直結しているようなのだ。

 

ここに、時間で出来た紙テープがあるとする。

そのテープを折り曲げ、去年の9月の目盛が、今月のそれに

直に糊付けされているかのようなのである。

 

(一昨日ラサでは季節外れの雪が降る。遠くの山々には残り雪。)

 

・・・

相変わらず、モノローグ調になってしまった・・(苦笑)。

(まぁブログやツイッターなどソーシャルメディアは、本源的にそういうものだが・・。

よくよく考えると、ブログというのは、モノローグの体で情報を発信することにより、

ダイアローグを実現しようとしているのか・・?)

 

さてさて話はかわって、

ラサの近況であるが、実は結構大変なことになっている。

なんと、バルコル周辺の道路があちこち掘り起こされているのだ!

上下水道、ガス管、そして電線をすべて地下に再配置すべく、

一斉の突貫工事なのだ。

 

 

それにしても、

少しずつ区画に分けて順次工事をすればよいものを、

どういうわけか、というより、お決まりで、ドカーッと一斉に強行されているのだ。

バルコル周辺の道は非常に歩きにくくなっており、

それよりもなによりも、砂埃が舞っており、空気が非常に悪い。

こちらに来られるみなさんは、マスク必須だ。

それと懐中電灯も。(暗くなってから、バルコルを歩くときに必要だろう。)

 

 

唐突だが、

風景のことをつらつら書いているうちに、ひとつ問いが浮かんできた。

 

風景が変化すると、人も変わるのか。

それとも、

人は、人の心は、変わるから、風景もそれに伴い変化するのか。

それとも、

やはり、ふたつとも同時並行なのだろうか。

 

こんな陳腐な問いは、あまり意味がない。

しかし、この問いを特権的に賦与されている、

もしくは、この問いを必然的に内在させている、

あるひとつの社会的存在がある。

それは、旅人。

 

旅人だからこそ、見えてくるチベットがある。

僕は数年以上にわたって、ラサに来られるみなさんと会いながら、

何度もその現場に立ち会ってきた。

 

 

チベット・ラサへようこそ!

これから再び、駐在生活が始まります。

どうぞ宜しくお願いします。

 

Daisuke/Murakami

 

(6~7月には工事は終わるとか。)

 

4月19日

(ラサの)天気: くもり時々晴れ

(ラサの)気温: -2~13度 (体感温度は、最高20度近くあります。)

(ラサでの)服装: 昼間はシャツ、フリースなど。 夜は(厚手の)フリース、ジャンパー、薄手のダウンなど。 日焼け対策は必須。 空気は非常に乾燥しています。念のために、雨具は持ってきたほうがよいでしょう。また、風も強く吹くことも多いので、マスクなども役立ちます。

 

 

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