~ 人類学者の徒然なる詩考と猛想 ~

“off Barkhor” のススメ![LHASA・TIBET]

“off Barkhor”とは、「バルコルからはずれて」の意味である。

バルコルの外側に広がっている、迷路のようなラサの伝統住宅街のことである。

 

 

 

 

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一週間前にラサに帰ってきた。

午前中から昼過ぎにかけては快晴がひろがっているが、

夕方あたりから曇りだし、夜には少し雪も舞っているようだ。

ラサ周辺の山々が軽く雪化粧をしている。

 

 

さて今日の話題は、“off Barkhor”。

ラサの中心・ジョカン寺には円環の巡礼路バルコルがあるが、“off Barkhor”とは、

その脇道を少し歩くと広がっているチベット人の日常生活空間のことである。

 

ここには、「何もない」。

つまりは、特に観光名所と言われるものはなく、

ただ単に、地元チベット人が暮している路地が広がっているだけなのである。

 

だが、(世界中のどの街でもそうであろうが)

このような「路地」と呼ばれる空間にこそ、

その街の、その街に住む人々の、本当の匂いが漂ってくるのである。

 

以下は、 “off Barkhor”で繰り広げられている日常の一部である。

 

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屋台DVDショップで、リンポチェの説法に聴き入るチベタン

仏教都市ラサでは、とても不思議なことに、大説法などは行なわれることはまずない。

が、やはり、(地方都市などで行なわれた)有名なリンポチェの説法は、

チベット人に大人気なのである。

 

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サイコロ賭博に興じるチベット男たち。

チベットのお酒(チャン)を片手に、大きな声を張り上げる。

「ハアァァー!!」(サイコロを振る男の声)、

「ドカッ!」(サイコロの入った碗をヤク皮で作られた台に投げつける音)、

と聞こえたら、ほぼ間違いなく、近辺で男たちがサイコロ賭博(ショ)をしていると思ってよい。

路地を歩いていると、よく聞こえてくる。

(ショの社会性・宗教的意味合いについて、去年論文に書いたので、詳しくはそちらをご覧ください。来春出版予定。)

 

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チベタンの若者の間では、ヒップホップが大人気!

よく道端でパフォーマンスをしている。これがなかなか上手いのだ。

ラサでもヒップホップのコンペティションがあると聞いたことがあるが、

チベット人も世界の若者と流行を共有しているのだ。

信仰深いだけがチベット人ではない。

 

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祈祷をするカム出身の僧侶[写真中央]。

その祈祷の内容がすごい。「ゴシップ除け」なのである!

他人からの妬みや恨みのネガティヴなエネルギーを、遮断させる働きがあるという。

このような祈祷がたくさん行なわれるのは、さすが、「路地の狭さ」、か。

 

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バルコルの周辺には、小さなお寺があちこちに点在している。

写真は、セラ寺の分院「ラプセー」。

ほとんどのこれらのお寺では、拝観料なし・ガイドなしで、

我々も自由に参拝できるので、

ぜひ気軽に訪ねてみてはいかが?

早朝に行けば、日常のチベタンの祈りに出遭うことであろう。

 

* * *

 

以上は、“off Barkhor”の風景のごくごく一部。

ぜひ、みなさんで「探検」して、魅力を発見してください。

横腹が空いたら、小さな茶館でチベット麺(トゥクパ)を食べてもいいでしょう。

 

ただし、“off Barkhor”探検、 迷子に注意です。

狭い路地なので、方向感覚が途中で失ってしまうこともあるかもしれません。

そのときは、地元の人に、「バルコー」とか「ジョカン」とか言いながら、

適当に指をさせば、教えてくれることでしょう。

 

そういえば、風のチベットツアーのスケジュールは、

他社のものに比べて割合余裕を持たせてあります。

種明かしをすれば、これはみなさんがラサに滞在中、“off Barkhor”をはじめ、

いろいろ寄り道ができるように予め設定されているのです!

(という僕の理解です。)

 

ラサは冬にまっしぐら。

巡礼者も増え、どんどんチベットらしくなってきます。

みなさんがラサに来られるのをお待ちしています。

 

Daisuke Murakami

 

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11月1日

(ラサの)天気: 晴れのち曇り

(ラサの)気温: -1~12度 

(ラサでの)服装: 昼間はフリース、セーターなど。 夜は、厚手のフリース、ダウン、コートなど。晴れの日は日差しがとてもきつくなるので、日焼け対策は必須。空気は非常に乾燥しています。この季節、雨は降ることは少ないですが、雨具は念のため持ってきたほうがいいでしょう。